考えるマカロニ

atsu-atsuの脳内のシナプスのお遊戯を文章化したものです。

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4月になりたてのある日。

子どもが、朝起きるなり「海に行きたい」と言った。

それで、海へ行くことにした。

我が家から海へは、自転車で20分足らずで行けるけど、

海水浴場として整備されている海へ行ってみようと思った。

うちから駅へ自転車5分、

駅から海水浴場の駅まで、4駅。

そんな大変なことじゃない。

でも実際は、とっても大変だったのだ。

 

まず、「テントのなかでおべんとうたべたいー」という要望に応えて

おにぎりを握り、おかずを整え、

その間じゅう「はやくうみいきたいー」コールを浴びせられる。

これだけのことだが、これだけのことでかなり、母のメーターは上がる。

 

お弁当が出来て、テントも持って、さぁ行こうという段になると、

子どもが「自転車やだー!!」と言い出した。

成長によりヘルメットが入らなくなり、

ノーヘルで自転車のハンドルにつけた座席に乗せるのはちょっと気が引けるため、

荷台につけた後ろの座席に乗せるようにしていたのだが、

子どもはそれが嫌なのだ。

いつもいつも「前がいい」と言われて辟易しきっているので

「またか…」とうんざりしながら説得する。

説得は、うまくいかない。

結局、ヘルメットなしで前の席に乗るということになった。

自転車を走らせていると、子どもが

「きょうはやさしいね。(ヘルメット)かぶらないでもおこらないね」

と言う。

「優しいとかじゃない!むしろ優しくないんだよ!

 ヘルメットしてなくて転んだら頭がパッカンしちゃって死んじゃうんだよ!

 ヘルメットをかぶせるほうが優しいんだよ!」

と、怒りちらす。

あーまったく、エレガントじゃないことこの上なし。

 

駅に着き、時刻表を見る。

今11時。

次の電車は、、、

ん?

11時50分?!

この待合室で、50分?!

田舎の電車をわかっていなかった。

 

とりあえず、待つしかないので、

テントで食べるべく持参したお弁当を、駅で食べることにした。

子どもの希望により持ってきたふりかけを、

子どもが封を開け、使っていたところ、

ーー落とした。

落とすよね。絶対落とす。こういうとき、こういうもの。

わたしの脳みそもだんだん煮えてきた。

「もー!自分で拾って!」と、

ベンチに腰掛けていた子どもを着地させようと前に押すと、

一緒にお弁当包みがすべって、その上にあったおにぎりもすべって、

コロリン。

おむすびコロリン。

まだ、ちょびっとかじっただけのおにぎりふたつが、駅の床にコロリン。

脳みそ汁、沸騰。

「もーっ!!! 最悪。ほんっとに最悪。」

ぶつぶつが止まらない。

でも知ってる。

悪いのはわたし。

だって押したんだもん。

でも、でも、自分を止められない。

 

そうこうしているうちに、電車の時間がきた。

電車に乗って、やっと海へのスタートが切れた気分。

やや和む。

そして目的の駅に着いた。

わたしはやっぱりよくなかったと思って、言った。

「さっき、おにぎり落ちたのお母さんのせいだったね」

「そうだね」

「怒って、ごめんね」

「うん」

 

そこからは、アイスを食べたり、旧友にばったり会ったり、

砂浜で華麗にテントを張ったり、子どもがはだかんぼうになったり、

アメフラシを見つけたり、砂でケーキを作ったり、

急に便意の申告がありトイレに行ったり、地場産のトマトを買ったりと、

なんだかんだ穏やかに、和やかに、のんびりと時間は過ぎていった。

 

帰りは電車の時間をよく確認して、余裕を持って乗れるようにと、

10分前に駅に到着するべく動き始めたら、

顔はめパネルを見つけた子どもが、足を止める。

人魚の顔はめ。

やって、やって、早くやって。

子どもが終わったら、わたしにもしろという。

そしてスマホで写真を撮るという。

やらないと前に進めないことはわかっているので、やる。

終わったと思ったら、向かいにあった龍馬とおりょうの顔はめもやろうとしたので、

さすがに堪忍袋の緒が切れて、

「〇〇〇!!」

子どもの名前を怒鳴ってしまった。

龍馬パネルは諦めてくれたが、かわいい人魚のキャラクター像が現れると、

そこに立ってと言い、また撮ってくれると言う。

阻止するとめんどくさいことになるのが目に見えているので、応じる。

写真はうまく取れていた。

うまく、わたしの憮然とした表情を切り取っていた。

 

そんなこんなで、わたしと子どもの海の一日は終わった。

子どもの願いは、叶えてあげられた。

とても気候がよく、海に行けて本当によかった。

わたしはとっても、疲れたけれど。