考えるマカロニ

atsu-atsuの脳内のシナプスのお遊戯を文章化したものです。

青空自主保育のつづき。

高知に引っ越す前、鎌倉に住んでいたとき、

子どもは青空自主保育に通っていた。

園舎を持たず、山や海など自然の中で育ちあう、

という考えの活動だ。

鎌倉には青空自主保育のグループが複数あり、

わたしたちが通っていたのは、「なないろ」というグループ。

 

子どもは2歳になると同時くらいにそれに行きはじめ、

3歳になる前に、引っ越しにより

続けることをあきらめた。

 

続けることはままならなかったが、

青空自主保育で過ごした日々は、

わたしたち親子に多大なる影響を与えた。

 

子どももわたしもお山を歩くことが好きになった。

急な斜面は「ライオンさん」(四つん這い)で登り、

下りるときは「おしりすべり」で

ズボンの汚れなんて気にすることなく、気にさせることなく

降り下りられるようになった。

土でドロドロに汚れたズボンは元気いっぱい遊んだしるし。

砂にまみれたTシャツは海と仲良くなったしるし。

 

それだけではなくて、たくさんのことを

青空自主保育で学んだ。

子どもと過ごす上での考え方の基礎を、お山で覚えた。

 

そんな大切な、お山の日々、

引っ越して青空自主保育に行けないからといって

ゼロにしたくはない!

高知でもお山に行く!

と、思っていたのだけど

3月上旬に引っ越しをして、

6月上旬の今日の日まで実に3ヶ月もの間、

お山へは行かなかった。

 

行きたい気持ちはあったけれど、

最初はどこに入りやすい山があるのかわからず、

人からお山歩きに向いていそうな場所を聞いてからも

なんだかんだそこへ行かれず。

日々のあれやこれやに流されてしまって

後回しになってしまっていた。

 

そして最近、子どもがこう言うようになった。

「なないろ行きたい」

そして

「お山行きたい」

と。

 

鎌倉の友達の誰々ちゃんに会いたい、というのは

これまでもよく言っていて、

特にここ一週間くらいは毎日言うようになっていた。

あぁ早く鎌倉に連れて行ってあげたい、

慣れ親しんだお友達と遊ばせてあげたい、

早く計画を立てなくては、と思っていたところでの

「お山行きたい」発言。

 

今できること、それはお山に行くことだ!!

 

「じゃあ明日、お山に行こう!」

「やったー!」

 

そんなこんなで、日曜日は家族三人でお山に行くことにした。

 

鎌倉には、気軽に入れるハイキングコースがいくつもある。

それは鎌倉の大きな魅力のひとつ。

しかし高知は、山は県土の実に7割以上あれど、

気軽に入れる山がどれだけあるのだろう?

あるところにはあるはず、でもまだ情報不足。

これから知っていきたい。

 

家から近くて、気軽に入れそうな、人の手の入った森を

友達から聞いていたので、そこに行ってみることにした。

 

おにぎりと季節の野菜のおかずを入れたお弁当を持って行って、

保育者さんがライゲンと言われる歌を歌ってくれて、

絵本を読むのをみんなで聞いてから食べるのが

なないろのお昼ごはんスタイル。

だから、絵本をわたしのリュックに入れて、お弁当を作って、

なないろのときに使っていたお弁当袋に入れて、

同じくリュックに入れて、

なないろスタイルで荷物をした。

 

服装は、やはりなないろのときと同じように、

おなかにお山で手に入れたおみやげを入れるポケットのついたTシャツに、

自分で脱ぎやすい、ゆるゆるのズボン。

その格好をした子どもを見るのは3ヶ月ぶりで、

なんとも懐かしく、かわいらしかった。

 

車でお山の入口まで行き、

案内看板をチェックして、さあスタート。

「わー この感じ久しぶり!」

うれしくなり、夫に言う。

そしてすぐに気づく。

蚊が多い。

山にはもう蚊がわんさといるぞ!!

夫と子どもはさっそく何か所も刺され、

かゆがっている。

 

そうだった。

何月頃にそうだったかは忘れたが、

なないろでお山に行っていたときも、

山の中の蚊の多さに驚いたのだった。

それはもう子どもの輪郭を縁どるかのように

蚊がふわふわ飛んでいたときもあった。

 

3ヶ月の間に、山忘れてたな…。

 

その後、数匹のハチに遭遇した。

ハチに遭遇すると、わたしと子どもはとっさに止まって

鼻から「ン――――」と声を出す。

これはハチにどこかに行ってもらうための音。

すっかり体に染みついた行動だ。

 

もうハチがいるのか。油断ならんな。

そう思いつつ、まずは蚊対策!

おくすり葉っぱを探す。

おくすり葉っぱ=どくだみの葉っぱ。

蚊に刺されたときに、どくだみの葉っぱをぐしゅぐしゅして、

汁をかゆいところにつけるといいと教わった。

蚊にはどくだみ!

これも子どもとわたしの共通認識だ。

そして山には意外とどくだみがない。

人里の方が、どくだみが生えていることが多い。

だから少し山からそれて、ひらけたところに出てみたところ、

あった、あった!群生している。

しかもちょうど白い花が咲いていて、きれい。

何本か摘んで持っていくと、子どもは大喜び。

 わたしも子どもも、「これでもう大丈夫だ!」という気分になった。

 

斜面が出てくると、子どもは

「あっこれはおしりすべりで行った方がいいね」

なんて言っていそいそとおしりをつけて

ずりずりと下りていくからうれしくなる。

少し険しい上りでは、わたしが

「ライオンさんで がおー がおー♪」

と歌って、子どもは手を地面にかけて上る。

ああこの子はなないろを大好きなんだな。

根っこが、なないろで作られたんだな。

そんな風に思えてうれしかった。

 

だって、「抱っこ!」と言われたときに

「なないろでは抱っこしていなかったよー」と言うと

「抱っこしないで行ける!」

と、急に切り替えられるんだもの。

そこに彼女の矜持を感じた。

 

その後は、栗を見つけたり、やまももを見つけたりして楽しみ、

しかし親子ともに久しぶりのお山だったので、

あまり無理はせずに短い山歩きを終えた。

 

1回に3時間半活動していたなないろに比べると

ほんとにほんとに小さな活動だったけれど、

今日は宝物のような日だった。

 

お山にいるときは、危険もある。

でもだからこそ、子どもと一緒になれる。

そして、一緒に経験して楽しめる。

お山は大人も子どもも受け入れてくれるのだ。

なんやかんや用事をして、

子どもに寄り添えていないことを反省することも多い日々の中で

こういう時間は大事だ。

また、お山に行こう。

 

追記

お弁当は、隣接する動物園内で食べました。

動物園での話は、また今度。

 

f:id:atsu-atsu:20180603235757j:image

  のいち冒険の森。

 

f:id:atsu-atsu:20180604012903j:image

入口の様子(これは4月の写真)