スーパー・ラブ
外出帰りに、家族でスーパーへ。
いつも夫が飲んでいる日本酒の一升瓶を買おうとお酒売り場へ行った。
最下段に置いてある一升瓶に娘が手をかけた。
危ないかも、と感じたわたしが瓶にふれるかふれないかのところで、
娘に首を持たれてバランスを崩した一升瓶がぐらりと床に乗り出し、
カシャーン。
1.8リットルの酒が床に広がった。
自らの過失にショックを受けた7歳。
わずかにふれた破片でわたしの手が少し切れて、血が出た。
それを見てさらに自責の念を強くする7歳。
夫は店の人を呼びに行き、わたしと娘は立ち往生。
娘は頼りない声で「どうしよう…」と戸惑っている。
「仕方ないよ。お金を払うしかないよ」とわたし。
娘は小さな声でごめんなさい、と言った。
しばらくすると若い男性スタッフが来てくれて「お怪我はないですか」と訊く。
「少しだけ」と言うと、絆創膏を差し出してくれた。
彼が片付けの準備をしに行ったのちに、
今度は女性スタッフがやってきて、やはりこちらの心配をしてくれる。
弁償しようとすると、いいと言う。
何度か弁償の意を伝えたが、笑顔でいいと言う。
「こちらをお買いになるのではなかったですか?」
と聞いてくれたので、1本取ってもらった。
でもやっぱり申し訳なくて、せめてもの思いでもう1本買いますと伝えたが、
変わらぬ笑顔でいいと言う。
結局やさしさに甘えさせてもらった。
帰りに、店の入り口に備えつけてある、意見を書く紙をもらってきた。
家族でお詫びとお礼を書いて、ご意見箱に入れるために。
いつも行っているスーパーに、親愛の情を強くした日だった。